WEBマガジン

最終更新日:2026年1月9日

特別展「戦後デザイン運動の原点」―デザインコミッティーの人々とその軌跡

特集

この春、戦後デザイン運動の先駆けとなったデザインコミッティー※の活動に焦点を当てる特別展を開催します。この特別展は、川崎市岡本太郎美術館と当館が共同で企画したもので、日本デザインコミッティーをはじめ、松屋、国立近現代建築資料館など関係機関からも当時の貴重な資料をご出品いただき、約300点を一堂に展示します。戦後日本を代表するデザインのほか、建築、写真、絵画まで、多彩な作品が集まる特別展の見どころをご紹介します。

松屋「グッドデザインコーナー」
1950年代後半
写真提供:日本デザインコミッティー

デザインコミッティーの活動の軌跡

1953(昭和28)年、日本に届いた、イタリアの国際的なデザイン展「第10回ミラノ・トリエンナーレ」(1954年)への参加要請に応えるべく、建築家(丹下健三、吉阪隆正、清家清)、デザイナー(剣持勇、柳宗理、渡辺力、亀倉雄策)、評論家(勝見勝、浜口隆一、滝口修造)、写真家(石元泰博)、画家(岡本太郎)らが集いました。「第10回ミラノ・トリエンナーレ」への参加は見送られましたが、デザインを通した国際交流とデザイン普及を目指し、デザインコミッティーは活動を始めます。

「第11回ミラノ・トリエンナーレ」(1957年)で日本は初参加を果たし、実行委員会に名を連ねたコミッティーのメンバーは、その中心的な役割を担いました。

「グッドデザインコーナー」のための選定会風景 1955年頃
写真提供:日本デザインコミッティー

一方、コミッティーは松屋銀座に1955年設置された「グッドデザインセクション」の運営を同年に引き継ぎます。そして、「グッドデザインコーナー」と改称されたこの売り場に置く商品の選定、併設する「デザインギャラリー」の運営を通して、優れたデザインを普及する活動を展開していきます。

柳のカトラリーや森正洋など、現在も多くの人に親しまれているデザインが、「グッドデザインコーナー」選定作品として見出され、紹介されました。

当時の写真からは選定会やグッドデザインコーナーの雰囲気の一端が感じられます。

「第11回ミラノ・トリエンナーレ 日本室 会場風景」1957年
写真提供:国立近代建築資料館

デザインギャラリーの展示を再現

現在まで続く「デザインギャラリー」での企画展の記念すべき第1回展(1964年5月)は、メンバーが自分の好きなデザインを選んだ「私の好きなデザイン」展でした。石元は「ライカのカメラ」、柳は「コーヒー沸し」など、それぞれのデザインについての考えをうかがい知ることができます。岡本は自身の作品である《坐ることを拒否する椅子》を出品しました。

第4回展(1964年8月)は、亀倉が企画した「あかり」展でした。イサム・ノグチの《あかり》は岐阜提灯をもとにした作品です。ノグチは牟礼町(現高松市牟礼町)にアトリエを置いた、香川ともゆかりのある作家です。特別展では部分的に第4回展の様子を再現しています。

柳宗理《バタフライスツール》
(初期型)1956年
柳工業デザイン研究会蔵
森正洋《G型しょうゆさし》1958年
デザインモリコネクション有限会社蔵
コミッティーメンバーの指摘を受け、何度も改良を重ねて完成した。
イサム・ノグチ《あかり》 当館蔵 (川崎会場展示風景)
撮影:佐藤克秋 写真提供:川崎市岡本太郎美術館

メンバーのコラボレーションにも注目!

特別展では、コミッティーのメンバー同士の交流から生まれたプロジェクトも紹介します。たとえば、丹下設計の「旧東京都庁舎」(1957年竣工)では、岡本が壁画を制作しています。また、東京オリンピック(1964年)では、丹下が手掛けた「国立屋内総合競技場(国立代々木競技場)」(1964年竣工)の壁画を岡本が、オリンピックポスターを亀倉が担当しています。特に注目していただきたいのは、「香川県庁舎」(1958年竣工)です。

丹下の設計による「香川県庁舎」は、戦後の庁舎建築として初めて国の重要文化財に指定され、建造物だけでなく、内部空間を構成する猪熊の壁画や剣持の家具類も評価されました(5頁参照)。会場では模型や竣工当時の写真のほか、指定の対象に含まれる剣持のデザイン家具も展示します。

特別展では「1 デザインコミッティー創立」「2 国際交流とデザインの普及」「3 サロンとしてのコミッティー」「4 デザインギャラリーの展開」の4章構成で、デザインコミッティーの活動や、デザインの普及に果たした役割についてご紹介します。また、関連企画の所蔵品展も同時開催します(4頁参照)。

当館で初めてとなる、デザインを本格的に取り上げる特別展をお見逃しなく!

(学芸員 日置 瑠子)

(※)国際デザインコミッティー。現在は日本デザインコミッティーと改称。

丹下健三計画研究室《陶製椅子》(香川県庁舎 1階ロビー)
1958年頃 香川県蔵
剣持勇《香川県庁旧本館知事室机》
1958年 当館蔵
岡本太郎《坐ることを拒否する椅子》1963年
川崎市岡本太郎美術館蔵

特別展「戦後デザイン運動の原点―デザインコミッティーの人々とその軌跡」

会期

4月9日(土)〜5月29日(日)

休館日

月曜日(5月2日は開館)

開館時間

9:00〜17:00(入館は閉館の30分前まで)

夜間開館

4月16・23・30日、5月7・14・21・28日の各土曜日は〜20:00(入館は閉館の30分前まで)

会場

特別展示室観覧料1,200円、団体(20名以上)・前売1,000円
瀬戸内国際芸術祭パスポート提示で団体料金

※高校生以下、65歳以上、障害者手帳をお持ちの方は無料。
※国際博物館の日(5月18日)はどなたさまも無料。
※関連イベントの詳細は8頁インフォメーションへ