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最終更新日:2026年1月9日

特別展 皇居三の丸尚蔵館名品選 美が結ぶ

特集

皇室と香川 皇室と香川を結ぶ美をひもとくと、香川の歴史がよみがえる!

本展は、皇居三の丸尚蔵館が収蔵する皇室ゆかりの美術品のうち、書跡の名品や中世から近代の絵画の名品、近代の工芸や彫刻から、香川県をはじめとする四国にゆかりのある作品を中心に展示します。皇室の美術品と関わりの深い香川の文化財を交え、全64件の作品により皇室と香川を結ぶ美の世界を展観します。ここでは、本展でしかご覧いただけない、一期一会の必見ハイライトを紹介します。

その1. 能筆が集う。教科書で習った「三跡」の書が並び立つ。

古くから日本では、中国から学問や芸術などの文化が取り入れられ、平安時代には漢字から姿を変えた日本独自の文字(ひらがな)が生まれました。書に優れた「三跡」と称される小野道風(894~966)、藤原佐理(944~998)、藤原行成(972~1027)の時代に、100年ほど歳月を経て、中国風様の書をもとに日本流(和様)の書が完成しました。本展では、「三跡」をさかのぼる能筆「二筆」の一人である讃岐生まれの空海の筆とされる書跡と「三跡」三人の名筆が一堂に会し、日本の書の源流を間近にご覧いただけます。

藤原佐理 詩懐紙(国宝) 当館蔵 

若き日にしたためた春の漢詩《詩懐紙》(国宝)と壮年時の《風信帖》を展示。ふたつの書の筆あそびからは、人生の来し方行く末までも垣間見えます。

藤原佐理 風信帖★(国宝) 当館蔵

その2. 初めて、希代の天才絵師 伊藤若冲の 国宝《動植綵絵》と金刀比羅宮の伊藤若冲《百花の図》が 出会う。

伊藤若冲 百花の図のうち襖絵 金刀比羅宮所蔵 香川県指定有形文化財
種子になる部分や周囲の花びらの描写がよく似ています。
伊藤若冲 動植綵絵 向日葵雄鶏図(国宝)★

伊藤若冲(1716~1800)といえば、圧倒的な画風で異彩を放った江戸時代を代表する絵師です。金刀比羅宮奥書院の《百花の図》は49歳の時の制作で、わずか六畳の間の四方の壁と襖に201点(74種)の花が、整然としながらも埋め尽くすように描かれた大作です。およそ10年の歳月をかけた若冲の真骨頂《動植綵絵》*(皇居三の丸尚蔵館収蔵)を描いている最中に制作されました。私的な生活空間を彩る《百花の図》は柔らかな筆跡ですが、両作に共通する濃厚で緻密な植物は華やかな一方、虫喰いや枯れ葉が描かれるなど、生命の盛衰が表されています。また、両作を見比べると類似する描写がいくつも見いだされます。《百花の図》と《動植綵絵》をともにご覧いただくまたとないこの機会に、ぜひ両作の植物の姿にもご注目ください。

*(《動植綵絵》30幅のうちから、2幅を全期間展示予定です。)

その3. 壮大なスケールが圧巻!新時代を寿ぎ、主基国・讃岐を近代日本絵画の巨匠竹内栖鳳が描く。

竹内栖鳳 大正度 主基地方風俗歌屏風★
右から、①春霞の十九山、②夕立の琴平山、③刈穂の財田、④雪の天霧山が描かれる。屏風の高さはなんと約2.5m。

天皇の即位後初めての新嘗祭(大嘗祭)で神に供える新穀を収穫する地方として、占いによって東の地域から悠紀国、西の地域から主基国が決められる儀式があり、大正天皇即位の際に、主基国として香川県が選ばれました。大嘗祭後の饗宴(大饗の儀)には、悠紀・主基両地方の風景を詠んだ和歌と絵を表した屏風が飾られます。この儀式は、昭和、平成、令和の大礼にも受け継がれています。本作は、和歌を宮内省御用掛の子爵・入江為守(1868~1936)が詠み、絵を帝室技芸員で日本絵画の西の雄・竹内栖鳳(1864~1942)が描きました。二人は香川の地を訪れ、各地の風景を四季とともに詠み、描いています。本作は標準的な屏風よりはるかに大きく、その絵は伝統的なやまと絵の技法で横一文字になたびく霞が描かれ、その向こうには瑞々しい主基国・讃岐の風景が広がっています。

トピックス1 崇徳天皇と西行

尾形光琳 西行物語絵巻 巻三(部分)★

四国で唯一、香川県には天皇陵があります。崇徳天皇白峯陵です。12世紀に、諸国を行脚した西行は崇徳天皇の御陵に祈り、空海の足跡を善通寺に尋ねました。本展では、西行の生涯を物語る《西行物語絵巻》より讃岐の旅の場面を紹介します。物語を進める尾形光琳(1658~1716)の優美な筆遣いも見どころです。

トピックス2 至高の美、夢の競演

高橋由一 読本と草紙 金刀比羅宮所蔵

皇居三の丸尚蔵館と金刀比羅宮の作品の競演は若冲だけではありません。近代黎明期の画家・森寛斎(1814~1894)や高橋由一(1828~1894)の作品も双方から出品されます。また、金刀比羅宮表書院の絵画にちなみ、皇居三の丸尚蔵館収蔵作品より円山応挙(1733~1795)、邨田丹陵(1872~1940)の作品も出品されます。

皇居三の丸尚蔵館外観

皇居三の丸尚蔵館

上皇陛下と香淳皇后によって国に寄贈された皇室ゆかりの美術工芸品の保存、研究、公開のため、平成5年、皇居東御苑内に宮内庁三の丸尚蔵館として開館し、昨年(令和5)名称も新たにリニューアルオープンしました。収蔵品は約6,100件(約2万点)に及び、古代から近現代までの各時代とさまざまな分野にわたり、貴重な作品を数多く収蔵しています。令和8年度の全面開館までの間、より多くの方々に皇室と日本文化に親しんでいただくため、同館の収蔵品を紹介する展覧会を全国各地で開催しています。

円山応挙 旭日猛虎図(部分)★

展覧会情報 特別展 皇居三の丸尚蔵館名品選 美が結ぶ 皇室と香川

会期

4月20日(土)~5月26日(日) 

会場

特別展示室・常設展示室1・4・5
(関連企画展示 常設展示室2、特別公開 常設展示室3)

開館時間

9:00~17:00(入館は16:30まで) 

休館日

月曜日、5月7日(火) ※4月29日(月祝)、5月6日(月休)は開館

観覧料

1,400円 前売・団体(20名以上)1,100円
※高校生以下、65歳以上、障害者手帳をお持ちの方は無料 

※関連イベントは巻末インフォメーションをご覧ください。 

★皇居三の丸尚蔵館収蔵