特別展:美術を探求ギモンにせまる
知るともっと楽しくなるのが、美術の魅力。
本展では当館収蔵の20世紀美術作品について、「ギモン」を切り口に紹介します。
作品のなぜ?なに?
作品を目の前にしたとき、「何で作っている?」、「作者は誰でどんな人?」、「作品は何を表現している?」など、大きなものから小さなものまで様々なギモンが浮かんできます。ギモンを持ち、探求することで、作品についてより詳しく知ったり、今までとは違う一面を見つけたりすることができます。同じ作品を見ていても、人によって浮かび上がるギモンは異なりますが、今回は本展の担当学芸員が作品を見た時に思い浮かべた素材・技法・題材に関する素朴なギモンをきっかけに作品を紹介します。このギモンが作品鑑賞のヒントになれば幸いです。

素材のギモン
作品は、多くの素材によって構成され、一見しただけでは全く分からないものもあります。素材によって表現できることや鑑賞者に与える印象は変わってきます。
作品をじっくり観察してみましょう。絵の表面に注目して作品を見ると、筆の跡や絵の具のたまりなどのほか、ざらざら、でこぼこといった様々な表情が見えてきます。藤沢章(1923-1998)「シャリー(シーワ・オアシス)」(①)では絵の具に砂を混ぜることで土壁のような質感となり、乾燥した雰囲気を漂わせます。一方、ジョルジュ・ルオー(1871-1958)「モニック」(②)では絵の具を大胆に盛り上げることでレリーフのような立体感が生まれています。さらに、「何に描いているのか?」という視点で見ると、素材は麻や絹といった布、紙、ビニールなど様々です。素材によって絵の具の滲み方や筆遣いなどは異なります。展示では、絵を見くらべながら素材による様々な表現を紹介します。
また、工芸作品から、素材としての竹にも注目します(③)。


技法のギモン
作品を制作するにあたっては様々な技法が用いられます。技術の発展や流行、作家の研究によって多種多様な技法が登場しましたが、技法を知ると作品の新たな一面が見えてきます。沖縄文化の研究者で染色家でもある鎌倉芳太郎(1898-1983)は、沖縄の紅型研究からその技法に基づいた作品を制作しました。紅型は型紙を使用して図柄を染める技法で、図柄の構成、染め方などに工夫が多くあります。「型絵段染山水文上布長着」(④)では、綿密に構成された山の図様が連綿と続き、その切れ目が分からないほどです。「どうやって模様を繰り返しているのか?」というギモンから、美術におけるパターンについて紹介します。
また、凸版・凹版など版画の技法にも注目し、銅版画や木版画の作品も紹介します。

題材のギモン
「題材は何か?」は作品を見るときに重要な視点です。歴史や物語の象徴的なシーンや人物、美しい風景のほか、身近な場面や物も作品の題材となってきました。作品に表現されたものが何であるかということに加えて、表現されたものの時代感や場所、作者との関係性などを知ることで作品の世界観をより楽しむことができます。
「ユーターピー」(⑤)は“馬の勇八”とも呼ばれた池田勇八(1886-1963)の彫刻作品で、ユーターピーという名前のサラブレッドが題材になっています。幼少期より馬に親しんだ池田勇八にとって馬がどのような存在だったのか、作品を介して考えます。
そして、藤川栄子(1900-1983)はショートケーキを題材にした作品を描きました(⑥)。「なぜこの題材を描いたのか?」、ショートケーキの歴史とあわせて作品を紹介します。
このほか、香川県を舞台にした作品なども展示し、作者と題材との関係性、時代背景などに触れながら作品について探求します。


美術を探求
20世紀の美術作品を中心としたコレクション展は10年ぶりの開催です。本展では、猪熊弦一郎、太田儔、田中岑など香川ゆかりの作家から、ピカソ、ルオーなどの海外の作家まで、絵画や版画、彫刻、工芸といった様々なジャンルの作品50点を展示します。素朴なギモンを鑑賞のきっかけにして、美術資料や歴史・民俗資料も交えながら作品について探っていきます。いろいろな作品を同じギモンを通して見たり、ひとつの作品を様々な視点でひも解いたりすることで、作品の新たな一面や見方を発見する機会にしていただけたらと思います。一緒に美術を探求してみませんか。
(専門学芸員 鹿間 里奈)
展示会情報|特別展|美術を探求 ギモンにせまる
会期
9月14日(土)~11月10日(日)
会場
特別展示室、常設展示室4・5
開館時間
9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日
月曜日(月曜日が休日の場合は翌火曜日)
観覧料
500円 前売・団体(20名以上)400円
※高校生以下、65歳以上、障害者手帳をお持ちの方は無料