ミュージアムガイダンス vol.45 県立ミュージアムとオニノコプロダクションの挑戦
県立ミュージアムでは、かがわ未来のアーティスト育成事業(香川県文化芸術振興計画)の一環として香川県中学校美術教育研究会が設立しているオニノコプロダクションと連携し、活動を行っています。

オニノコプロダクション(以下、オニノコ)とは、県内中学校間の垣根を越え、中学生が主体となって、アートを通して社会に貢献しようとするプロジェクトチームのことです。オニノコは瀬戸内国際芸術祭2013への参加決定をきっかけに2012年から活動が始まり、香川県伝統工芸士(讃岐装飾瓦)神内俊二氏が協力し、約3,000名の中学生が鬼瓦を制作しました。それを女木島(鬼ヶ島)の大洞窟に展示し、生徒たちがワークショップを開催するなど活動を続けています。
2016年より当館と連携して「郷土の魅力発信プロジェクト—さぬき!」を展開しました。生徒たちが生活する地域の良き文化、歴史、伝統をテーマに“うどんだけじゃない自慢したいさぬき”を切り絵で表現しました。集まった県内40校約4,200点の作品は、当館の特別展と連携して3階までの吹き抜けの空間にインスタレーションとして展示するとともに、中学生によるワークショップも開催しました。さらに2018年には第83回香川県美術展覧会、観音寺市立中央図書館でイサム・ノグチの「AKARI」とのコラボ展示と続き、制作した生徒たちと鑑賞者は地元の良さを振り返り、郷土愛を共有しました。
昨年度のプロジェクトは県内中学校12校の美術部が参加し、「コミュニティー空間の創造」をコンセプトに、直島ホールで当館と中学生同士の交流を行いました。その後、かがわプラザ(サンポート高松)で、各校が計画したワークショップを開催し、子どもからご年配の方々までコミュニケーションをはかりながら作品づくりを楽しみ、100名以上の美術部の生徒たちが豊かなコミュニティー空間をつくり出しました。
そして、瀬戸内国際芸術祭2019が開催されている今年、オニノコは再び、女木島で活動を行います。今回は、「オニノコ瓦プロジェクト2」と題し、世代交代した新たなメンバーで6月には再度、神内俊二氏にご協力いただき鬼瓦を制作します。第84回香川県美術展覧会で披露した後、7月にリニューアル展示に臨みます。さらに夏会期、秋会期に女木島でワークショップやお接待の活動を通して島民の皆さんや、来場者と触れ合う時間をもちます。
当館は、この事業の意義、価値をしっかりと見据え、中学校の先生方にご協力をいただきながら、本県で育つ子どもたちが、将来「アート県かがわ」を担うことを願いつつ、アートを通して活躍できる場をつくっていきたいと考えています。
(学芸員 高嶋 良子)

