vol53 収蔵品紹介
重要文化財 「月江正印墨蹟 印可状」

紙本墨書・掛幅装
当館蔵
中国・元代の禅僧・月江正印(1267〜没年不詳)が、弟子である日本からの留学僧・老禅に与えた印可状。印可状とは、禅学修業の皆伝を意味する証明書のこと。月江正印は元代随一の高僧と仰がれ、日本からも多くの禅僧が弟子入りしました。冒頭にある「何山」は、月江正印が住んだ中国・湖州にある普化寺の山号。馬祖、曹渓といった禅の先人たちに言及しつつ悟りの境地を表し、老禅への印可としています。
高松松平家には、延宝元年(1673)、初代藩主・頼重が隠居を許された際、四代将軍徳川家綱から直々に拝領し、もたらされました。2年後の延宝3年(1675)4月、出席して将軍に面謁した後、大老酒井忠清や老中などを招いてもてなす中、本作品を茶室に掛け、二代藩主・頼常のお点前で濃茶をすすめ、披露しています。
禅の世界ではもとより、芸術、茶道においても珍重される墨蹟、厳格な修行を経て与えられる印可状の持つ価値の高さ、将軍家からの拝領品であること、松平家伝来の資料の中でも特筆すべき名品です。
(専門学芸員 高木 敬子)