調査研究ノートvol.42 香川初の映画館はどこか?
香川県には戦前、都市部(高松・丸亀・坂出・善通寺・観音寺)に約20館ほどの常設映画館があり、地域の芝居小屋や学校でも不定期に映画を上映していました。戦後、館数は急増し、昭和32年(1957)には100館を超え、県内ほとんどの市町村に映画館が存在しました。では、香川県で最初に常設での映画上映をした施設はどこにあったのでしょうか。
活動写真の上映
フランスで映画が発明されてから2年後の明治30年(1897)、日本に初めて映画が輸入され、神戸で上映されました。当時は全国を巡る巡業隊が、既存の芝居小屋や仮小屋で興行していました。まだ映画という言葉もなく、活動写真と呼ばれていました。
香川県では、明治31年の秋に、駒田好洋という活動弁士が高松で巡回興行をしたと本人が述懐しています。彼は明治35年5月にも高松市片原町にあった芝居小屋「玉藻座」で興行しています。当時の新聞、「香川新報」にも記事が掲載されており、盛況ぶりが分かります(図1)。

明治35年(1902)5月13日付
芝居小屋から活動写真常設館へ
明治36年に、日本最初の常設映画館「電気館」が東京浅草に誕生し、明治40年以降、全国に映画館建設が広がります。香川県では、明治44年1月1日、高松市片原町の古天神(華下天満宮)境内にあった芝居小屋「肥梅閣」が常設映写場「世界館」として開館しました。同年5月3日には、丸亀市の「稲荷座」が活動写真館「世界館」として開館。翌年6月11日、「玉藻座」も芝居小屋から活動写真常設館として開館しました。どれも既存の劇場を改築したものでした。
常設映画館として初めて新築されたのは「緑館」です。大正元年(1912)10月25日、高松市東瓦町に開館しました。残念ながら写真は確認できませんが、当時の緑館の挿絵が残されています(図2)。「香川新報」によると、ハイカラで2階は柱が1本もなく畳席と長椅子席があったようです。実はこの年、4月30日に高松電気軌道が開通し、出晴駅(現 ことでん瓦町駅付近)が開業しています。新しい駅の近くに3階建の華やかな映画館。明治末期の高松市中心部の発展と映画館建設には深いつながりがあったのです。

県内初の映画館
今回の調査から、片原町の「世界館」が県内初の常設映画館であると結論づけることができます。また、高松や丸亀では比較的早い時期から映画が受容されていたことも確認できました。
その後大正時代になると、常設映画館は、高松4館(図3)、丸亀4館、坂出2館、善通寺2館、観音寺2館と県内各地に広がり、大正モダンの一端を担うこととなります。
(専門職員 高木 理光)

関連展示会
常設展示室4・5 私の町にも映画館があった
10月29日(金)~12月19日(日)
ミュージアムトーク
11月27日(土)、12月12日(日) 各13:30~