瀬戸内国際芸術祭2022参加 特別展 風景が物語る瀬戸内の力-自然・歴史・人の共鳴-
この秋、瀬戸内海をメインテーマにした特別展を開催します。瀬戸内海は、日本最大の内海として、本州、四国、九州にある11府県の沿岸によって囲まれ、その海岸線の距離は7,230km※(香川-ハワイの直線距離に相当)にも及び、内海に浮かぶ島々は700以上あります。古くからこの風景は人々を魅了し、自然が創り出した風景、時代を写しとった風景、暮らしの風景、理想化された風景などとして、様々に描かれてきました。
本展は瀬戸内国際芸術祭2022秋会期に参加しています。関西、中四国の30件以上の所蔵者のご協力を得て、テーマに沿って厳選された約100点の資料・作品を紹介します。各地の瀬戸内海の姿を表した作品が一堂に会し、歴史、民俗、美術、自然など、これまでにない多面的な視点から瀬戸内海の魅力をひも解きます。
※出典「瀬戸内海の概況」環境省 せとうちネット https://www.env.go.jp/water/heisa/heisa_net/setouchiNet/seto/g2/g2cat01/index.html
描かれた瀬戸内
その特色のひとつは花崗岩などにより形づくられた巨石・奇岩や白砂青松、あるいは瀬戸と灘、潮流、干満、島々などが織りなす自然の姿です。また、古代より大陸への大動脈であった瀬戸内海は、源平合戦や交易船が行き交う歴史の舞台となり、航行する北前船や漁撈を営む人々、塩田で働く人々なども生き生きと捉えられ、歴史の一場面や暮らしの実景として描かれてきました。さらに瀬戸内の風景は、物語の場面や寺社縁起絵、名所絵として壮麗に昇華され、理想化された景観としても描かれました。
昭和9年(1934)、瀬戸内海は日本で最初の「国立公園」に指定されましたが、その特徴は手つかずの自然や雄大な自然景だけでなく、多島海などの豊かな自然に、人々が積み重ねた歴史や暮らしが溶け込んだ自然景と人文景が共鳴した風景といえるでしょう。
〈ユートピア〉〈自然〉〈生活〉〈名所〉〈近現代そして未来〉の5つのテーマをもとに、描かれた風景が物語る瀬戸内の力を再発見し、未来に向けて残伝えていくべき景観や人との関係性について考えます。
(主任専門学芸員 窪美 西嘉子)
一の景 ユートピア

物語や歌枕、寺社縁起絵には、しばしば瀬戸内が現れます。都人のひとつのユートピア(=理想郷)としてイメージが作られました。王朝美の代表格「源氏物語」の主人公 光源氏も一時期、都を離れ、瀬戸内の寒村に住まう姿が映し出されます。(図1)
二の景 自然
穏やかなイメージが定着している瀬戸内も、その地質・地形、海象の特徴から様々な表情を見せ、私たちは特有の自然を再発見するでしょう。かつて瀬戸内海には海獺(ニホンアシカ)の姿もありました。(図2・3・4)



三の景 生活

瀬戸内には港があり、城もあり、村もあります。海を舞台に漁業などの仕事をする人々、沿岸部で塩を作る人々、島の畑で働く人々、町で暮らす人々など、瀬戸内の風土に生きる人々の姿を探ります。(図5・6)

四の景 名所
自然と人々の暮らしがあいまって、“訪れてみたい”“訪れることができる”名所が生まれました。瀬戸内各地の様子に注目します。
五の景 近現代そして未来
近代以降、絵師や画家の個性が重視され、表現や技法、画材も多様化し、瀬戸内の風景もさらに様々な姿を現します。「世界の宝石」と謳われる美しさだけでなく、自然の脅威もひとつの姿であり、また人々の希望を乗せた未来の姿や空想の瀬戸内も描かれます。(図7・8)


現在、制作中の作品も!!
香川県立高松工芸高等学校美術科の生徒たちが、彼らの遺したい瀬戸内の姿を、未来への願いを託して制作しています。

特別展情報:秋の特別展 風景が物語る瀬戸内の力―自然・歴史・人の共鳴―
会期
9月23日(金・祝)〜11月6日(日)
会場
特別展示室、常設展示室4・5
開館時間
9:00〜17:00 会期中の土曜日は〜20:00(
入館は閉館の30分前まで)
休館日
月曜日(10/10(月・祝)は開館、10/11(火)は休館)
観覧料
1,200円、前売・団体(20名以上)1,000円
瀬戸内国際芸術祭2022パスポート提示で団体料金(9/29〜11/6)
高校生以下、65歳以上、障害者手帳をお持ちの方は無料
関連イベントは巻末インフォメーションをご覧ください。