vol59 収蔵品紹介
雛道具のうち十種香道具
雛祭りにおいて、現在のように雛人形を飾るようになったのは江戸時代の寛永年間(1624〜44)頃と言われています。雛祭りは庶民まで広がり、人形と一緒に飾る調度類も作られるようになります。高松松平家にも、第12代当主夫人の昭子(1883〜1976)、第13代当主夫人の香枝子(1916〜1997)が所有していた雛人形や雛道具が伝来しています。
婚礼調度を写した雛道具は多岐に及び、棚などの調度のほか、身を整えるための角盥や鏡、硯や料紙といった筆記具、茶道具・香道具などが残っています。そのなかに、十種香道具があります。漆塗の香箱や長盆、金属製の火道具類、陶製の香炉など、香りが何であるかを当てる組香のひとつ十種香で使用する道具がまとめられています。細かく作り込まれたこれらの道具は実物をそのまま小さくしたような精緻なものとなっています。繊細かつ豪華に作られた道具は、当時の生活の一部とともに、技術の高さも伝えます。
(専門学芸員 鹿間 里奈)
