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最終更新日:2026年1月9日

調査研究ノートvol.46 共同で取り組む調査研究 松平家近代資料の調査から

調査研究ノート

当館が収蔵する、高松藩主をつとめた松平家に伝わる資料には、近代(明治時代から昭和20年頃まで)に作成された様々な資料(以下「松平家近代資料」)が多数含まれています。この松平家近代資料を令和3年度から、高松市と共同で調査しています。

共同調査の始まり

松平家近代資料には、高松城が明治23年(1890)陸軍省から松平家に払い下げられる過程や、その後の高松城の整備・利用等について記録した重要な資料が含まれており、一部はこれまで展示等で紹介してきました。しかし、膨大な数にのぼる資料群の全体像を把握できていないことが課題となっていました。

令和3年度に、史跡高松城跡を管理する高松市の担当者から、高松市が史跡の保存・活用を適切に行っていくため、近代における城郭の利用や改変の実態を明らかにする必要があると考えていることを聞きました。

松平家近代資料の全体像を明らかにすることは、その中に含まれる高松城関係の資料を把握し、活用することにつながり、当館と高松市が抱える課題を解決することにもつながると考え、共同で調査に取り組むことになりました。

写真資料の調査

最初に、近代の高松城の変遷を視覚的に把握するため、当館のほか、公益財団法人松平公益会、高松市歴史資料館等が所蔵する写真資料のデータ収集を行いました。併せて、写真の撮影場所や年代を特定するため、参考資料として絵図・地図についてもデータを収集しました。収集したデータについて検討を重ね、令和4年度末には、写真資料(絵葉書・参考図版を含む)90件222点、絵図・地図46点のリストと画像を掲載した調査報告書(註)が高松市から刊行されました【図1】。

高松城の写真がこれだけ多く収録された書籍はなく、今後調査研究を行う際の基礎資料として広く活用されると思われます。

今後の調査

令和5年度からは、膨大な数の文書資料の目録作成や写真撮影の作業を行っています【図2】。文書から読み取れる情報によって、調査報告書に掲載した写真の内容や撮影時期等について、より詳しく解明されていくことが期待できます。また、目録が完成すれば、多くの人が資料の内容を知り、活用できるようになります。

まだまだ時間がかかりますが、作業を通して得られた知見を、広く還元していく活動についても共同で取り組むことができるよう、今後検討していきたいと思います。

(学芸課長 野村 美紀)

(註)『高松松平家歴史資料 近代資料群調査報告書(写真・地図)』
(高松市・高松市教育委員会,2023年)図書館等で閲覧できます。

図1 写真を多数掲載した報告書図
図2 資料の写真撮影