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最終更新日:2026年1月9日

学芸員おすすめ!1階フリーゾーンの楽しみ方5選

特集

香川県立ミュージアムには、展示室以外にも学びや体験ができる空間があります。例えば、地下1階には講堂や工作室、実習室、1階には図書コーナーや体験学習室、喫茶室、ミュージアムショップなど、さまざまな施設があります。

なかでも、1階の「フリーゾーン」は、皆さまをお迎えする大切な空間。博物館というと「難しそう」「堅苦しそう」と思われがちですが、このフリーゾーンでは、遊ぶ・読む・調べる・触れる・見るなど、幅広い体験ができ、どなたでも気軽に楽しんでいただけます。

ここでは、学芸員がおすすめする、フリーゾーンで体験できる5つの「楽しむ!」を紹介します。

1.座って楽しむ! 香川県のデザイン家具

戦後、数々の優れたモダニズム建築が登場した香川県。なかでも屈指の名作、丹下健三設計の香川県庁舎旧本館及び東館(重要文化財)の家具を紹介するコーナーがあります。

庁舎は昭和33年(1958)に竣工し、あわせて家具も製作されました。家具の設計は、剣持デザイン研究所や丹下健三研究室が担当しています。剣持勇はジャパニーズ・モダンを先駆け、戦後日本の工業デザインの礎を築きました。

このコーナーでは、木とスチールの組み合わせが端正な、剣持デザインの「知事室机・脇机」と、両面棚で室内空間を仕切るという建築的発想から生まれた丹下研究室による「執務室仕切り棚」を展示しています。

また、図書コーナーやエントランスホールには実際に座ることができる、いろいろなイスが並んでいます。いずれも、かつて県の各施設で使われていました。五色台少年自然センターや香川県文化会館のイスはすぐれた合板の加工技術によって、シンプルで美しく作り上げられた逸品です。剣持デザインの旧香川県立体育館の木製のイスとテーブルは、重厚な積層の木材が独特な表情を見せています。ぜひ香川県ゆかりのデザイン家具の座り心地を、試してみてください。

2.見て楽しむ! 本だけじゃない図書コーナー

図書コーナーには、歴史・美術・民俗などに関する4,000冊余りの図書を配架しています。香川県に関する本や美術作品の詳細が分かる大型本に加え、歴史や美術を分かりやすく学べる子ども向けの本もあります。

この図書コーナーには、本以外にも楽しめるものがあります。それは、世界的に活躍した芸術家のイサム・ノグチによる石の彫刻「アーケイック」です。ノグチが高松市む れ牟礼町にかまえていたアトリエで制作したもので、石の表面は手で磨き重ねられ、直立するラインにもどこかあたたかみが感じられます。もとは県庁舎本館2階に設置されていましたが、平成20年(2008)に当館へ移設されました。「アーケイック」は露出展示されており、展示ケース内で見る資料・作品と違い、360度どの方向からも、近くから石の表面の質感を見て楽しむことができます。

今年度、図書コーナーでは広々とした空間を活用して、ナイトコンサートや講座「おしえて!ミュージアムゼミ!」といったイベントを行いました。夜間開館時には、ノグチが手がけた光の彫刻「AKARI」を点灯し、多くの方に楽しんでいただきました。

香川県庁舎東館の家具の展示コーナー
五色台少年自然センターの椅子と旧香川県立体育館の机
図書コーナーとアーケイック

3.家族で楽しむ!「 ほんのもり号文庫」

ほんのもり号文庫

瀬戸内の島々の子どもたちに本との出会いを届けるため、今年の4月から「こども図書館船 ほんのもり号」が運航を開始しました。子どもたちに瀬戸内の海や島、本に興味をもってもらうため、「ほんのもり号」の所有する図書から、香川大学の学生が選んだおよそ100冊が図書コーナー内に配架され、「ほんのもり号文庫」として開設されました。

4.触れて楽しむ!「 衆鱗図」の「鯛」と「 あじ鯵」!

「衆鱗図」の陶板

 「高松松平家博物図譜」(香川県指定有形文化財)の魅力を広く伝えるため、特に水生生物を緻密に描いたことで有名な「衆鱗図」の陶板2枚(鯛と鯵)をエスカレーター脇に設置しています。

 この陶板は大塚国際美術館(徳島県鳴門市)の世界名画の複製品と同じ技術、陶の焼きと彩色の工程を繰り返すことで、平面的なものを忠実に再現する特別な技術によって製作(大塚オーミ陶業株式会社)され、公益財団法人松平公益会から贈呈されました。銀箔を使った光沢のある色合いの特徴がよく再現され、盛り上がった顔料の立体感、描かれた魚のりん かく輪郭、とが尖ったひれ鰭などを触れて楽しむことができます。

5.買って楽しむ! ミュージアムのオリジナルグッズ

「ミュージアムグッズを見れば、ミュージアムがわかる」とまで言われる博物館のオリジナルグッズ。当館でもコレクションにちなんで、学芸員が開発した複数のオリジナルグッズがあります。例えば当館コレクションの筆頭である国宝「藤原佐理筆詩懐紙」から、花・思・桜・光・流の文字を選んで缶バッジを作りました。ガチャ機での販売のため、チャレンジして全種類揃えてみてください。

「高松松平家博物図譜」をデザインしたクリアファイルは、「衆鱗図」など、全種4種類あり、テーマカラーもそれぞれ異なります。また、金魚・まぐろ鮪・かに蟹をデザインしたグリーティングカードは、インパクトのあるデザインです。

国宝「藤原佐理筆詩懐紙」缶バッジ写真
「衆鱗図」グッズ

おわりに

展示室とは異なり、自由度の高い1階フリーゾーン。展示資料を見るだけでなく、実際に触れたり体験したりできます。これまでとは少し趣向を変えた講座やコンサート、飲食の提供など、この広い空間を生かして新しい事に挑戦していく予定です。ミュージアムの挑戦と進化を、ぜひお楽しみに!

エントランスホールで開催したMuseum Night Barの様子