名品選

最終更新日:2026年2月22日

藤原佐理筆詩懐紙
ふじわら さり(すけまさ)ひつ しかいし

作者
藤原 佐理(ふじわら さり、1944-1998)
時代
平安時代 10世紀
品質・員数
紙本墨書 1幅
法量(cm)
縦32.0 横45.0
分類
指定区分
国宝
資料群名
高松松平家 資料
収蔵番号
MY0#00001

解説

懐紙とは、貴族が衣服の懐に忍ばせて用いた「ふところがみ」であり、そこに詩文を書き記したものを「詩懐紙」と呼ぶ。
小野道風(とうふう・みちかぜ)、藤原行成(こうぜい・ゆきなり)とならんで書の名手とされた藤原佐理が、安和2年(969)の3月14日に、祖父の太政大臣藤原実頼(さねより)が主催した詩歌(しいか)会で、自ら詩を詠んで清書した。課題は「隔水花光合(水を隔てて花光合う)」であり、和歌・漢詩いずれも許される「倭漢任意」の体裁であった。佐理は七言絶句を選び、桜花が水面に映える春景を題材とした。この時、佐理は26歳。現存する遺作のうち最も若い時期の書であるとともに、現存最古の詩懐紙である。小野道風の書風の影響を受けつつも、細く軽やかな運筆は和様への萌芽をみせている。高松藩主松平家に伝来した。

読みくだし
暮春、同じく「水を隔てて花光合う」を賦す。
 教に応ずる一首。絶句体を為す。倭漢任意
  右近衛権少将佐理
花脣は語らず、ひそかに思いを得る。
水を隔てて、紅桜は光暗に親しむ。
両岸の芳菲(ほうひ・草花)は浪上に浮かび、
流れる(ように飛ぶ)鶯は、尽日(じんじつ)、残春をしらす。