名品選

最終更新日:2025年12月31日

弘法大師像(善通寺御影)
こうぼうだいし ぞう(ぜんつうじ みえい)

作者
時代
室町時代 15世紀
品質・員数
絹本著色 1幅
法量(cm)
縦115.2 横76.8
分類
絵画(国内)
収蔵番号
B97000624

解説

絵画に表現される空海の姿(御影)は、顔をやや右に向け、右手に五鈷杵(ごこしょ)、左手に数珠(じゅず)をとり、椅子に坐し、脇に水瓶や沓(くつ)を置く構図をとるものが多い。本像もその伝統を踏まえつつ、釈迦如来(しゃかにょらい)が松山に出現する場面を加えた点に特色がある。
高野山の学僧道範(どうはん)が「大師聖跡(だいしひじりあと)」善通寺を訪れた際、宝塔内に空海筆の御影が奉安されていて、これが通用の大師像に釈迦如来が出現する様子が描き加えられたものだったと、日記「南海流浪記」に記している。この御影は仏師成祐(じょうゆう)が模写し、しばしば天皇の御覧にも供されたと伝えられる。釈迦影向(ようごう)をともなう大師像は「善通寺御影」と称され、高野山や四国、岡山などに広く伝えられ、讃岐出身の僧・増吽(ぞううん)との関連も指摘されている。
本作は力強い墨線と朱色を基調とし、鋭い眼差しや髭の剃り跡を描き、生身のような迫真性を備える。天保3年(1832)の修理銘によれば、もと備前法万寺に伝わり、宝徳年間(1449–1452)に増吽が描いた真筆であり、増吽自らが旧軸に「宛如生身(あたかも生身のごとし)」加えたとされ、善通寺御影の中でも際立った作品である。