名品選

最終更新日:2025年12月31日

堆朱鼓箱
ついしゅ つづみばこ

作者
玉楮象谷(たまかじ ぞうこく、1806−69)
時代
江戸時代 嘉永6年(1853)
品質・員数
木、漆・1合
法量(cm)
縦29.0 横46.2 高24.3
分類
工芸
指定区分
県指定
収蔵番号
MY0#

解説

玉楮象谷は、高松藩主松平家9代頼恕(よりひろ)、10代頼胤(よりたね)、11代頼聡(よりとし)に仕えた漆工職人で、中国や東南アジア伝来の漆工品を探求し、自身の彫技を活かした独自の、彫漆(ちょうしつ)・蒟醬(きんま)・存清(ぞんせい)の3つの香川漆芸技法の基礎を確立した。
本作品は能の楽器・小鼓二丁を収める鼓箱で、朱漆を2段に彫り分ける彫漆技法を用い、蝶や牡丹、菊の文様を立体的に表している。頼胤のために作られ、蓋には松平家の家紋である葵紋を大きく配し、藩主の威厳を示している。
下絵は高松藩絵師の狩野永笑(1819-88)が描いたもので、花や蝶の配置はほぼ踏襲されているが、蝶の羽根や花芯、葉脈などの細部には、象谷自身が紗綾形や亀甲、卍、菱繋ぎといった装飾文様を加えている点に象谷の独自性が見られる。制作の過程で藩主の御覧が2度あったと記録されており、作品に対する藩主の強い関心もうかがえる。象谷の高度な技術とデザイン力を示す代表作のひとつである。